15年の間に、世界の情勢は大きく変わり、車や家電といった“モノ”への消費から、旅行や演劇や料理といった体感や娯楽といった“イミ”や“コト”に、消費の価値観が移り変わったことは、みなさんも理解されているのではないでしょうか。
車一つとっても、道路の舗装が進まず、狭い道や商店街での小売店舗が販売の主体だった1960年代は、小さくて小回りが利き、荷物を沢山運べる3輪の車が持てはやされました。
東京オリンピック以降の高度経済成長時代は、3種の神器のひとつに車は上げられ、一般家庭でも車を所有することが、ステータスとなりつつありました。その時代に車に筆よとされたのは、安全性や機能ではなく、手出しできる値段で買えるかが、ポイントでした。
一家に一台、車を所有するようになると、こんどは「安全機能」であったり「おしゃれさ」であったり「人と被らない」など、車という乗り物にプラスの価値を、求めるようになりました。
そして更に時代は進み、消費者は、プラスアルファの価値観を乗せられた車の周辺、例えばお店の雰囲気や専門性、サービスに価値を見出すようになってきたのです。
世の中と消費者は、大きく変化しました。
ではセールスはどうでしょうか?
モノを売っていた1970年~80年代、セールスは休みなく働き、巧みな話術と強烈な押しで、モノを売っていました。押し売り、などという言葉があったくらいです。
それでもセールスは、各家庭にモノが無い時代に、新しい商品を教える媒体として重宝されてきました。
各家庭にモノがあふれ、TVなどで情報を取得しやすくなると、セールスたちの競争は激しさを増してきます。セールス達はさらに話術を磨き、より強力に売り切る力が必要とされてきました。
セールスの世界は、売った者が正しく、売れない者の言うことは、負け犬の遠吠えでしかありませんでした。
沢山売ったセールスには、多額のインセンティブが支給され、トップセールスはあこがれの的となりました。
それから40年経った、今のセールスは、どうなっているのでしょうか?
セールスの講座やビジネス本で教えていることは、話術や営業心理学、トークスクリプト、マナーなど全く変わり映えしません。
インセンティブ制度やフルコミッション制等の報酬制度は、今も当たり前に残っています。
何も変わっていません。
セールスの世界は、高度経済成長を経て、コトイミ消費に変わった現在でも、同じ手法、同じ教育、同じ価値観で動いているのです。
セールス界は40年間、全く変わっていないのです。
このままの状況では、いずれ日本は販売力を失ってしまうかもしれない。
そう考えて立ち上げたのが「セールス エージェント サービス」です
セールスの方法は、人により千差万別で、誰一人として同じ方法をでは無いと、私は考えています。
ですが世の中のセールス教育は、必ず何かの「型」にはめようとします。まるで世の中のお客様が、同じ思考で動いているかのようです。
セールスに「型」は存在しません。存在しないのですが、もし大きな枠組みで捉えるとするのなら、感情と気持ちを交換し合う「コミュニケーション」の部類に入ると思います。
「コミュニケーション」は曖昧です。漠然としていて、実態の無いものです。
どうやって、コミュニケーションを型にはめるのでしょう? はめられるはずがない。
ですから私は、出来る限り一人一人に、アドバイスや指針を出すように、トレーニングをしています。会社の営業部門のテコ入れやトレーニングも、スタッフ一人一人と話します。
スタッフ全員の話を聞いて、それぞれに指針を出しつつ、チームをまとめることは、簡単なことではありません。みんな、ワガママ言いたい放題です。まとまる訳が無い。
それをまとめて、一定の方向に向かわせることが、私に出来ることです。
今この文章をお読みいただいている、みなさまに私が出来ることです。
私にそれが出来るのは、セールスとしてダメだった時も、いい時もあったからです。
セールスとして順調にステップアップした人は、売れなくて苦しんでいる人の気持ちが分かりません。どうしたら売れるようになるか、アドバイスもできません。自分の「型」を押し付けることしかできません。
セールス教育が全て、型にはめてしまうのは、順風満帆なセールス人生を送ってきた人たちばかりだからです。
これから私のセールス人生を簡単に紹介しますが、私のセールスとしての歩みは、順調であったとは言えません。むしろ初めは「落ちこぼれ」の部類に入るレベルでした。
だからこそ、出来るアドバイスがあります。寄り添えることがあります。
私のセールスのルーツから、皆様自身のセールスの形を作る、ヒントがあれば幸いです。
私がセールスの世界に飛び込んだのは、2005年、25歳の時です。当時自動車部品製造工場に勤めていた私は、7年間変わらない業務の毎日に飽きてしまい、美容機器や健康器具の訪問販売会社へ転職したのです。
ずっと機械相手に仕事をしていた私にとって、セールスの世界は異質なものでした。お昼休みが無い、そもそも休みが無くて、年中働く。毎月給料が変わる。そして何より、朗らかな笑顔を見せないといけない。
笑顔を作るのは苦手でした。だって、今まで機械相手だったんです。笑って仕事をすることはありません。むしろ機械相手に笑顔で仕事をしていたら、危ないヤツです。
無理をして笑ってみると、不自然で不気味。でも意識しないと物調面で怖い。笑顔もできない、販売の現場に立つ以前のレベルだったのです。
何とかしなければと、しゃべっている時の表情を確認するために、鏡に向かってブツブツと、笑顔を浮かべて基本トークを繰り返す日々。そんな私を見るに見かねて、周りのおば様たちが練習台になってくれたのです。
不得手でも、一生懸命やってれば、誰かしら助けてくれるものです。
とはいえ、ロクにコミュニケーションも取れない私が、まともに契約を上げられるわけもなく、月のノルマ30台に対し、2台、3台しか売れないまま、半年が過ぎました。
今思えば、よくクビにならなかったなと思うのですが、店長を初め店舗の皆様が、会社や本部にかけあっていたと後日聞かされた時には、目頭が熱くなりました。こんな落ちこぼれに気を使わせてしまい、申し訳ないと。
すげえ上司がやってきた
春の人事異動で、私をかばってくれていた店長を初め、多くのスタッフが異動していきました。そして代わりにやってきたのは、その会社でNO1の実績を上げている店長でした。
当たり前に数字を上げる、営業トップが上司です。これはいよいよ、私の首が飛ぶ。そう思いながら、福岡の地に初めて来た(と思っていた)新店長が管理しやすいよう、私は九州中に散らばるセールススタッフの居場所と、何をやっているかが一目でわかるよう、地図とグラフをホワイトボードに作ったのです。今でいうところの、GPS機能(アナログ盤)みたいなものでしょうか。
このような事務的な作業は、私の得意分野でもあったので、「出来は良くないかもしれないけど、ないよりいいか」と作ったのですが、新店長はそれを見て「やっと俺の片腕が出来た!」と、大絶賛で社長に報告されていたのです。
まさに青天のへきれき。実力勝負の営業会社で、実力のない私が確固たるポジションを確立した瞬間でした。
もし今のあなたが落ちこぼれていても、何かしら評価される武器と評価されるタイミングはあるのです。焦らずじっくりと、取り組んでいけばいいのかなと思います。
信長の属国として生き永らえた家康のように、NO1営業である店長の庇護下に入った私。そこで店長は、ことあるごとに私を営業に同行させ、常に傍らに置いておきます。
「営業なんて覚えようとせんでいい。俺のやることを、しっかり見とけ。1年もしたら、俺の1/10のオーラが出る。それで売れる」
今はこの言葉の意味が分かるのですが、当時30歳にもなっていない私。オーラってなんじゃい! と思いながら、店長が進めるものは全て試しました。
お前の話は面白くないから、三遊亭歌之助(現 三遊亭圓歌)の落語を聞いて勉強しろと言われ、買えるCDは全て買いました。ついでに現代落語のCDは片っ端から聞き、勉強しました。
「一流のものを知っとけ」と言われ、旨いと評判の店に、片っ端から行きました。ただすぐにお金が続か無くなったので、店長や稼いでる営業にプレゼンをかけ、奢ってもらうようにしました。
「毎日杏仁豆腐を食ってれば、金持ちになれる」と言われ、さすがに疑いながらも「毎日杏仁」と名付けて、実践しました。
しばらくして、毎日杏仁の意味が、少しづつ分かるようになってきました。
実際、杏仁豆腐でお金持ちになれたら苦労はしません。中国人はみんなお金持ちになります。
大切なのは「想い続けること」なのです。お金持ちになろう、と毎日想う。杏仁豆腐はそれを忘れない為のトリガーです。
今でも私は杏仁豆腐も見るたびに、お金持ちになりたいは思い出さなくても、「想い続けること」の大事さを思い出します。
その後私は、本社や系列会社で、様々な営業責任者や役員の管理業務をサポートするようになります。
全員が必ず数字を上げる、一流のセールスでしたが、理論的な人もいれば、人情で動く人もいて、二人として同じ人間は居ません。そして、それぞれの管理方法、人心掌握術で、癖のあるセールス達をマネジメントしていました。
今でも私は、自分が売りに行くよりもスタッフに売りに行かせるほうが得意という、横柄な人間なのですが、その土台は、この時の経験があってこそだと思います。
そしてこの経験があるからこそ、売れないチームや新規事業のチームを、売り上げを上げるチームへ変えることが出来るのです。
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セールス エージェント サービス代表兼作家
・セールスプロデューサー
・作家
美容機器、健康器具の訪問販売を皮切りに、某大手中古車販売買取店店長、ポルシェ・ベンツ等のクラシックカー専門店販売店長、仕入れ買取部門立ち上げ、輸入車ディーラー営業と経歴を重ねて独立。
営業として前線に立つ傍ら、部下の育成を手掛け、在籍した会社で数多くのトップ営業マン、店舗責任者、管理職者を育成する。
商品開発、コンセプトワークから、マーケティング、販売支援、スタッフ研修、顧客フォローシステム構築といった、
企業の販売活動全てを支援する。
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